薬そのものがもつ、胎児への催奇形性・胎児への毒性・妊婦に対する副作用などを意味します。どのような危険性がどの程度あるのかは、動物実験、症例報告、臨床試験、疫学調査などから評価されます。
催奇形性について
薬とは関係なく、通常の妊娠においても奇形は発生します。心室中隔欠損症などの心臓の異常、外奇形では口唇裂や口蓋裂が代表的です。このような先天奇形をぜんぶ合わせると、100人に2人ないし3人くらいの割合になります。
原因についてははっきり分からないことが多いのですが、遺伝的要因と環境要因が考えられています。このうち薬が原因とされるのは、奇形全体の1%にすぎないといわれます。ある意味、奇形を生じるのは確率的な問題で、すべての妊婦さんに共通のリスクと言えます。奇形という意味で、もっとも注意が必要な時期は赤ちゃんの基本的な形が作られる妊娠初期です。とくに2ヶ月目が重要で、妊娠後期になるほど危険性は低くなります。
胎児毒性について
おなかの赤ちゃんの発育や機能に悪い影響をすることを「胎児毒性」といいます。多くの薬は胎盤を通過して、胎児にも移行します。たとえば消炎鎮痛薬の内服は胎児の血管を収縮させたり、新生児肺高血圧症の原因にもなりかねません。また腎臓の働きを悪くして尿量を減少させ、羊水過少をまねくおそれもあります。このような胎児毒性は、妊娠初期よりも後期から分娩に近いほど影響がでやすいので注意が必要です。
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